(二)この世界ごと愛したい
「怖かった?」
「ハルのこと信じてたけど、もしかしたら…もしかするのかもって。ほんの一瞬だけ疑っちゃったー。ハルごめんー。」
「よしよし、落ち着こうね。」
「よかったよおー…。」
安堵感に包まれてホッとする私を抱きしめ返してくれるトキが、よしよしと慰めてくれる。
「うわー将印ネックレスにするあたり所有権のアピールがすごいけど。それチェーンの部分純金だよ。売ったら大金持ちだよ。」
「…お誕生日プレゼントだって言ってた。」
「王族の誕生日プレゼントってやっぱレベルが違うね。いらなくなったらチェーンだけでもくれる?」
「…うん、わかった。」
いらなくなる日が来るのか分かんないけど。
それにしても本当にホッとしました。
いやもう心を揉まれる流言騒ぎでした。ちょこっと焦りました。
でもやっぱり、ハルとるうは信用に足る二人のままで嬉しいです。
「…でもこれ、あんまり良いことじゃないかもよ?」
「へ?」
トキが私を引き剥がして、ちゃんと座らせる。
「リンは訳も分からず受け取ったんだろうけど、鬼人はそうじゃない。」
「うん?」
「その意味も効果も分かって渡してるんだから。」
「…うん?」
首を傾げてばかりの私。
そしてちゃっかり部屋に入って各々座って私とトキを見ているアキトとシオン将軍。
「つまり鬼人はリンを妹としては見てないってことだよ。」
「…はい?」
「将印は大体プロポーズの時なんかに使う将軍が多いんだよね。」
「ぷ、プロポーズ…。」
ハルが、私に…プロポーズ。
想像したらちょっと面白いかもしれない。