(二)この世界ごと愛したい



トキがここで口を開く。




「リン、これでシオンと少しなら一緒にいられそう?」


「うーん。」


「俺まだシオンに用があるし、シオンちょっとやらかして追われてるからあんまり外に置いとけないんだよね。」




追われてたね。


そう言えばそうだったね。




「それにリンをここから出すと次はアキトがうるさいし、ここは俺の顔に免じて許してくれないかな?」


「トキにそんなこと言われたら断れないよー!」


「本当にいい子だね、リンは。」




再びトキに抱きついた私を受け止めてくれるトキ。


それを怪訝そうに見る残った二人。





「…トキがここまで気を許すなんて驚いた。」


「驚いてるのは俺だよ。やけに最近リンのこと聞くなーって思ってたけど、本当にそうなの?」


「…さあ?」


「あんな昔話、女避けの作り話だと思ってたけど。リンだったんだ?」




昔話…?


そう言えば私に昔何か言われたってさっきシオン将軍言ってたっけ?





「…さあ?」


「俺なんか複雑な心境になってきたなー。」




私をぽんぽんと撫でながらトキは困ったように笑っている。





「トキ私またここに泊まってもいい?」


「ああ!?俺は!?」


「…だってアキト…苦しいことばっかりするし。」


「だから謝ったろ!?」




謝ったからって私にどうしろと!?


そしてトキが帰ってきた今、私に怖いものはもうないんですよ。





「…苦しいって?」


「シオンには関係ねえ!!!」


「目の届く場所で何か起こるならアキトと言えども容赦しないけど。」


「お前ここどこだか分かってんのか!?俺の城な!?」




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