(二)この世界ごと愛したい
シオン将軍という人
私はアキトとサクに声を掛けて。
三人で稽古場へ来ています。
「結局トキさんがリンちゃんと帰って来ましたけど?」
「色々あったんだよ!シオンもいたし、トキが今日帰って来るなんて知らねえし!」
「でも隊長頑張りましたね!ちゃんとリンちゃん迎えに行っただけ成長っす!」
「てめえ俺を何だと思ってんだあ!?」
アキトがサクを追いかけ回し。
私はただボーッと立っているだけ。
「リン?」
「…なに?」
「シオンのことか?」
「あの鬼畜ね。ハルに無害なら私は別にもういいんだけど。」
その憂いが軽減された今、私の懸念点はトキの結婚の方で。
トキが不在になればこの軍の戦略を組み立てるのは誰?アキトがやるの?そう言えば私にこれからも助けてもらう的なこと言ってなかった?
とかとか、色々心配してしまう。
「トキとシオン将軍って仲良いの?」
「まあ、見たまんまだ。あれ以上でもあれ以下でもねえなあ。」
「…ふーん。」
「お前シオン嫌いなんだよな?」
ハルを付け狙った罪があるからね。
私はそれだけで人を嫌いになれる人間ですよ。
「好きか嫌いかで言うと嫌い。」
「ちょっと嫌いが緩和してねえか!?」
「だってハルのこと狙わないって言ってたし。」
「お前の好き嫌いの基準は鬼人次第ってことか!?」
え、そうですけど。
「変?」
「変だろ!?」
「ハルが好きな人なら私も好き。」
「…さすが鬼人だ。」
あまりの兄バカっぷりにサクは若干引いてますが。
ぼちぼち稽古を始めましょうか。