(二)この世界ごと愛したい
私は何も気にしないけどサクをこれ以上落ち込ませたくないので。
見せないよう配慮します。
「サクくんから聞いたよ!リンちゃんごめんね!?」
「これでお互い様だねー。」
「リンちゃん顔も赤くない!?熱もある!?」
は、ハナちゃん…。
そこは触れないでいただけると嬉しいです。
「へえ、熱もあんのかあ?」
「…うるさい。今日の稽古は私も気合い入れますのでアキトさん後でよろしくね。」
白々しいアキトに腹が立ち、若干怒りを匂わせて私はハナちゃんから城の一角で手当てを受けています。
そして改めて傷を見たハナちゃんが、可愛い顔を歪める。
「お見苦しくてごめんね。」
「…サクくんに見えないようにしてくれたの?」
「私も先日やらかして気持ち分かる上に、こんなの見たらさらに落ち込みそうじゃん?」
「リンちゃんもサクくんも優しいもんね。」
私はサクに優しさで勝てるは気しません。
「痛くない?」
「もう古傷だからね。見た目の割に全然痛くないよー。」
「…お風呂上がりも消毒しなきゃ。」
「お手数かけてごめんね。」
手当ても済んだ私は再び稽古場へ戻る。
そこでは時間を持て余したアキトとサクが二人で打ち合っていた。
「…ん?」
こうして俯瞰で見ると。
アキトはやはりその腕力が凄いので、大きな武器でもそれなりに余裕で振れる。
大刀を使って手数が減るのに慣れないと言ってた。手数が減るというのは振り返しの一打がほしいということなんだろうか。