(二)この世界ごと愛したい



リーチがある武器の方がアキトの力は発揮されると私は思った。


だから武器を持ち替えるよう声を掛けた。





「…武器庫にまだあったかな。」




私は武器庫に走って私のお目当ての武器を探す。





「重ーっ!」



よいしょと抱えて。


私は稽古場にいるアキトに渡した。





「あー?矛なら持って来てるだろ?」


「そうなんだけど。」




私が必死に運んだ重い矛を、軽々と片手で持つアキトを少し睨む。


その筋肉マジでほしい!!!




「重さの違いだよ。今までが剣だったから、軽い方がいいのかなって思ってたんだけど。どうにもアキトが動きにくそうな気がして、敢えてちょっと重いの持って来た。」


「これ重いかあ?」




…そうですか。


私からすれば全然重みの違う二本の矛。両刃なので手数が減る問題は解消出来るはず。





「よし。じゃあサクと続きどうぞ。」


「お前やらねえのかよ?」


「なんか外から見てるとまた違う発見があって面白いことに気付いたのー。」




なので傍で見学します。



アキトとサクが再び打ち合いを始めて、すぐに分かったさっきまでとの違い。




私が気付いたと言うことは。


本人が一番身に染みていることだろう。






「…決まりだね。」




この矛にしよう。


追々好きなのを武器屋か鍛冶場で繕ってもらっても良いけど、重さのことは注意するように伝えなきゃな。




あの重みがあるからこそ、この爆発的な威力が発揮される。





言ってる側からサクが吹っ飛んでいった。





「あ、悪い。」


「サク大丈夫!?」



なんて可哀想なことするんだ。


サクは本当に怪我してばっかりじゃん。




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