(二)この世界ごと愛したい
「やばー!隊長めちゃくちゃやばいっす!!!」
「けどこれ練習しねえと加減難しすぎる。」
「強すぎて鳥肌っす!もう隊長最強になるんじゃないっすか!?」
受け身も上手いサクなので、怪我は大したことなかったのか大興奮のサク。
しかし、ここからは私が引き受けましょう。
「サクありがと。怪我は大丈夫?」
「もちろんっす!」
「じゃあ代わるからちょっと待っててねー。」
私は再び二本の剣を抜く。
「…もうちょっとサクで練習していいか?」
「え、なんで?」
「……。」
「私の心配してる?」
そりゃするだろと小さく呟いたアキト。
アキトは意外と心配性なんだよね。でもサクの心配もしてあげてほしいものだ。
「んー。じゃあ私に一太刀でも入れられたらアキトにご褒美あげましょう。」
「…え。」
「いらない?」
「……いる。」
私のことが好きなアキトさんのやる気スイッチを押して、今は心配させてあげない。
だってせっかく武器が決まったのにここで稽古しないと勿体ない。
「けど一太刀も入れたくねえ時はどうすればいいんだ!?」
「あーじゃあ私から剣を離させたらでもいいよ。途中で一本に切り替えるかもしれないけどそれは許してね。」
さすがにあのパワーを片腕でどうこうできる気がしない。
アキトの了承も得られたので、とりあえず稽古を始めてみることになりました。