(二)この世界ごと愛したい



私がアキトを寝不足にした?


それはつまり昨夜あの後即寝た私と違って、アキト眠れなかった…のか。




「〜っ私そんなつもりじゃっ…!」


「その顔も可愛いしリンが悪くないことは分かってるよ。だからリンを飲ませ過ぎた奴は俺が潰しといたから安心してね。」


「つ、潰さなくても…。じゃあなんでトキはアキトの部屋に行っちゃうの?」


「リンに付き合うと寝たい時に寝れないから。」




…返す言葉もございません。




「トキ俺は?」


「シオンはリンをよろしく。朝起きれるようにちゃんと早めに寝かせてね。」


「どうやって…。」


「任せたよー。」




トキは有無を言わさず。


シオン将軍に私を押しつけて、颯爽と部屋を出て行ってしまった。




「…なんかごめん?」


「謝るならせめて回数決めません?」


「…うーん。」


「あと三回。」


「少な。」


「……。」




シオン将軍は何も言わずに部屋のドアに手を掛ける。


問答無用で勝ち逃げする気か!?





「っ…。」




呼び止めようとして。


言葉を飲み込んだ。




今の私は王族でも姫でも将軍でもない。


みんながみんな私に従ってくれるわけではない。立場的にもシオン将軍が上。




もう我が儘を言っていい身分じゃないし、言われた人も聞く義理はない。





バタンと閉まったドアに目を向けるけど。


シオン将軍の姿はもうなくて。






「…早く慣れなきゃ。」




手放した権力は、決して小さくはない。





< 193 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop