(二)この世界ごと愛したい
私がアキトを寝不足にした?
それはつまり昨夜あの後即寝た私と違って、アキト眠れなかった…のか。
「〜っ私そんなつもりじゃっ…!」
「その顔も可愛いしリンが悪くないことは分かってるよ。だからリンを飲ませ過ぎた奴は俺が潰しといたから安心してね。」
「つ、潰さなくても…。じゃあなんでトキはアキトの部屋に行っちゃうの?」
「リンに付き合うと寝たい時に寝れないから。」
…返す言葉もございません。
「トキ俺は?」
「シオンはリンをよろしく。朝起きれるようにちゃんと早めに寝かせてね。」
「どうやって…。」
「任せたよー。」
トキは有無を言わさず。
シオン将軍に私を押しつけて、颯爽と部屋を出て行ってしまった。
「…なんかごめん?」
「謝るならせめて回数決めません?」
「…うーん。」
「あと三回。」
「少な。」
「……。」
シオン将軍は何も言わずに部屋のドアに手を掛ける。
問答無用で勝ち逃げする気か!?
「っ…。」
呼び止めようとして。
言葉を飲み込んだ。
今の私は王族でも姫でも将軍でもない。
みんながみんな私に従ってくれるわけではない。立場的にもシオン将軍が上。
もう我が儘を言っていい身分じゃないし、言われた人も聞く義理はない。
バタンと閉まったドアに目を向けるけど。
シオン将軍の姿はもうなくて。
「…早く慣れなきゃ。」
手放した権力は、決して小さくはない。