(二)この世界ごと愛したい
結局、模型の前で最終戦の駒を眺める。
…私はまだ一勝も出来ていない。
それなりに場数も踏んだ。
実際の戦では無敗の姫。
戦神。
アテナの化身と持て囃されたものの。
「やっぱすごいなー。」
…これが現実。
それはそうなんだけど。
駒の配置から動かし方。
もう少しで、何か見えそうな気もした。
最終局面でのこの一手。
一戦目とは打って変わって揺動も囮もなく、ただ正攻法と理に適った戦略。
「…本当に一般戦術勉強し直さないとマズいかも。」
るうの軍の軍師紛いのことを引き受けといて、こんな一般的な戦術に敗れているようでは危険に晒してしまうだけ。
このままではヤバい!!!
やっぱりトキに頼んで明日から空き時間勉強しようかな。
「…お待たせしました。」
「え?」
もう別室に行って休んでしまったと思っていた。
…シオン将軍が戻って来た。
この人の気配って本当に読みにくい。
戻って来てすぐにトキの部屋の棚をガサガサと漁っているシオン将軍。
「何してるの?」
「ここにあるのは知ってたけど場所が分からなくて。トキに聞きに行ってました。」
「何があるの?」
「…これ。」
それは囲碁の盤のようなもの。
そして小さな駒たち。
シオン将軍はそれを持って寝台に転がる。
「はい。」
「はい?」
横になったシオン将軍がポンポンと隣を叩く。
たぶん私を呼んでくれている。
「これでいいなら転がって出来るから構わないです。途中で寝たらすみません。」
「どうやるの?」
「教えながらやる。」