(二)この世界ごと愛したい
とりあえずシオン将軍の横に、少し間隔を空けて恐る恐る横になってみる。
そして盤に駒を黙々と並べるこの人を見る。
「…何か?」
「思ったより優しいなーと思って。」
「相手が相手なんで。」
だとしたら尚更おかしな話だ。
「私に優しくしたって姫やめちゃったし。あげられるものは何もないよ?」
「…別にいりませんけど。」
「こんなに優しい人だって知らなくてなんかごめんね。ハルを狙うのが悪いんだけども。」
「気にしてません。」
心も広い!
さすがお兄さん!!
「…これどうやるの?」
「さっきと要領は一緒です。模型の枠が囲碁盤になっただけ。とりあえずやりながら覚えてください。」
「これも楽しそうー!」
「…程々にしてください。」
軍師間で使われていると言うこの軍略囲碁に大ハマりした私。
楽しくて楽しくて機嫌良く笑って過ごしているのを、シオン将軍が眺めつつ。
かれこれ十回戦目に突入しています。
「んー…。」
「眠いなら寝ません?」
「…眠くない。」
「もう目開いてないけど。」
「もうちょっと。」
うつらうつら。
かくんかくんと揺れる頭。
そしてもう何十回目かも分からない私のもうちょっとを聞いてシオン将軍も、何十回目かも分からない溜め息を吐く。
「こ。」
「こ?」
「…こ。」
眠さに抗って、ここと指定した。
最後に私は駒をその一つのマスに置く。
そこで完全に意識は飛んでしまった。
「…参りました。」
最後の最後にシオン将軍から掴み取った一勝。
心穏やかに眠る私を見て、シオン将軍は疲れながらも少しだけ嬉しそうに笑った。
「夢みたい…は、俺の台詞だ。」
小さく呟いてそっと私の頭を撫でたシオン将軍の手は、大きくて少し体温の低い。そんな優しい手。