(二)この世界ごと愛したい



あー。眠い。


本当にまだまだ眠い。全然稽古って気分じゃない。



目を擦る私の耳に鳥の鳴き声が届く。




“ピー”




ちゅんちゅんなら雀。


カーカーなら烏。




ピーは?





するとバサバサと羽を動かして。


一匹の鳥が窓から侵入。





「えっ?」




その鳥は未だ眠そうなシオン将軍の肩に降り立った。



シオン将軍はそこでようやく私の手を離す。






「と、鳥だ。」


「シオンの鷹だよ。」




初めて見た、鷹。


シオン将軍の、鷹。




その足についた伝書らしき物を取り外し、また窓から空に放つ。





「…嫌な予感。」


「シオンたぶんもう無理だよ。諦めた方がいい。」




私は目の前の光景に再び目を輝かせる。







「私もやりたい!!!」




眠気もぶっ飛んだ。




これはたぶん情報伝達の一種なんだろう。


出来たらすごく便利。


そして鷹を飛ばすのがカッコいい。





「私にも出来る?どこで買ったの?どうやったら降りて来てくれるの?今どこに飛んで行ったの?」


「…トキ任せる。」


「タイミング悪かったね。」




もう鷹に興味津々の私にげんなりする兄弟。


私は気になって気になって仕方ない。




「俺とシオン今日は出掛けるんだ。だから鷹の話はまた今度ね。」


「お出掛けってどこに?私も行っちゃダメ?何時に帰って来る?」


「場所は言えないし連れても行けない。帰りは…たぶん夜には戻るけど。」


「…そっかー。」




明らかに肩を落とす私にトキは困ったように笑うしかなくて。


困らせちゃダメだと分かっているのに、困らせてしまった。私の馬鹿。




「…私稽古行ってくる!二人とも気を付けて行って来てね!」




出来る限りの笑顔で二人に伝えて、私はトキの部屋を一人で出る。




それは今はもう懐かしい。



アレンデール城にいた頃も、私はこうしていつも誰かを見送ることしか出来なかった。




この想いがいつも憤る。




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