(二)この世界ごと愛したい
「さて、シオンも支度してね。」
「……。」
「連れて行けないのは事実でしょ?」
「…別に。ただ、こうしていつも誰かを見送って来たんだろうなって考えただけ。」
アレンデールでは日常と化したことも。
セザールで暮らした頃も。
私は旅立つ人を見送るだけ。
心の赴くまま、追いかけたくても追いかけることさえ叶わない。
あの気持ちがふと蘇っていた。
「出発する前にチラッと様子見てから行こうか。」
トキの言葉に頷いてシオン将軍も支度にかかる。
「…トキ。」
「ん?」
「馬車やめて早馬に変えて。」
「…はいはい。」
いつも自分が寝たいからと馬車を手配させていたにも関わらず、寝ずに己で馬を走らせること選んだシオン将軍。
トキは驚きつつも。
その姿がやはり珍しくて思わず笑みを溢した。