(二)この世界ごと愛したい




稽古場にて。


今日からボール遊びをやめて、通常の戦いの稽古に移行します。



これは一般的な集団戦術が身に付いただろうという私の判断。


そのせっかく身に付けたものを実践で使い物になるよう調整したいという私の計画。




だけど。


ご褒美制度がなくなったことで、隊士たちの元気もあまりないのは誤算でした。





「人数多いからさっさと始めよう。」


「お前が寝坊したんだろ!?」


「じゃあまず私がやるから要領覚えたらアキトとサクも勝手によろしくー。」


「無視か!?」




うるさいアキトは蚊帳の外。




「とりあえず百人ずつ行こうか。ボール取る要領忘れないでねー。」


「百!?」


「それくらいで回さないと午前中で終わんないじゃん。」


「それにしたってお前多すぎるだろ!?」




えー。


我が儘だなー。




「じゃあアキトとサクの分、五十ずつもらってあげるから慣れたら増やしてね。私のとこ二百で隊列よろしくー。」


「お前機嫌悪くね?」


「別に普通ですー。いつもこうですー。」


「…もう怪我はなしだぞ。」




何を言っても無駄だと察したアキトは、一先ず怪我だけ気を付けるよう釘を刺して自分の持ち場に戻る。




「この人数の斬り稽古久々だなー。」




アレンデールでは最大五百相手で稽古したことあるけど、あれは地獄だった。


それに比べれば半分以下。





「あ、トキに救護班頼んでるから怪我して続行無理そうなら自己判断で抜けてってね。後方の子たちは抜けた分人数把握してその分だけ次々入って来ていいから。」


「リンちゃんまさか本気で斬る感じ…すか?」


「トキのオッケー出たからね。大丈夫、ちゃんと急所は外してあげるよ。」





私の言葉を聞いて隊士たちがトキに恨みの念を募らせたのに気付いたけど。


私は見て見ぬふり。



…トキのためにも手元狂わないようにしよう。




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