(二)この世界ごと愛したい



私は腕に乗せた鷹に、小さく頷いてみる。


それを感じ取ってくれた鷹は、私の腕から窓の外へ羽ばたく。




それと同時に続いて私も外へ舞い上がる。





「鷹速っ!!!」




鳥の空を飛ぶ速さとは凄いものだ。


私は見つけてもらった一羽の鳥を電光石火の如くスピードをあげて捕獲。



その捕獲を手伝ってくれたシオン将軍の鷹。





「…君も鷹なの?」


「ピー。」


「鳴き声は似てるね。火だけど熱くないから安心していいよ。怖がらせてごめんね。」


「ピー。」




私が捕まえたのは真っ白な鷹っぽい鳥。




「…私の鷹になってくれる?」


「ピー。」



“いいよ”って言ってくれた…気がした。


丁度シロともお別れしてしまって、寂しい思いをした私なので。



この白い鷹に、私はクロと名付ける。





「おっと、まだ日があるからって飛びすぎた。」




誰かの目を惹く前に戻りましょう。



シオン将軍の鷹は私の肩に戻って来てくれて。私はクロを抱えてトキの部屋の窓に舞い戻る。





「捕まえて来た!!!」


「…もう驚きで言葉も出ないよ。」


「色違いの鷹みたいだね!嬉しいー!」


「…いや、うん。よかったね。」




ツッコミどころ満載な出来事にトキはもう笑うことしか出来ず。


シオン将軍は静かにそっと私から自分の鷹を呼び寄せ、また外へ放す。




「…暑い時期はあまり酷使しないことを勧めます。」


「うん!」


「飛ばしたい場所へは一度一緒に行って覚えさせるといいかと。」


「うん!やってみる!」




シオン将軍が丁寧に鷹について教えてくれる。


もう、大満足の私です。




「じゃあハルに何か伝えたい時に使うには、アレンデールの城に一度戻らなきゃダメってことかー。」


「…嫌なんですか?」


「嫌ではないけど。私を引き留めるハルを説得するの疲れるんだよねー。」


「なるほど。」




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