(二)この世界ごと愛したい



ハルはしつこいからなー。


また色んな誘惑で私を引き留めるに違いない。





「じゃあ俺がついでに連れて行ってきます。」


「え?」


「ハルに丁度用があるんで。場所覚えさせたら貴女の元に戻します。」


「ハルに…何するの?」




もう狙わないって言ったよね!?


というか単身でアレンデールに行くつもりなの!?




「話をするだけです。会ってもらえるか分かりませんけど。」


「今行くのはマズいんじゃない?ハルたぶんまだ怒ってるよ?」


「それでも明日行くだけ行ってみます。」


「ハルのことだから大人しく話なんか聞いてくれない気がするし、そもそもアレンデールの城には基本的に誰も…。」




…入れない。



パパが生きていた頃は、それはもう私を隠し守るために外部からの訪問者は全て弾かれる。



でも今は、もう緩和されているのかもしれない。




どちらにしたってハルの怒りは関係ないけど。そんな危険を犯してまでハルと話したいことも気になるところだ。




「…しかも明日雨だから移動大変かもよ?」


「雨?」


「もう気圧がかなり下がり始めて…っわあ!?」




…え?



明日雨だと教えてあげたら、シオン将軍が突然私の両腕を強く掴む。




それに驚いたクロが私の腕から窓の外へ羽ばたいて行ってしまった。



クロもシロみたいに指笛で来てくれるものなのかな!?シオン将軍のせいで逃げちゃったんだけど!?





「あーあ。シオンにそんなこと言っちゃダメだよ。俺せっかく黙っといてあげたのに。」


「え?」




私を捉えたシオン将軍。




「…雨の読み方は。」


「はい?」


「どの起点から読む。」


「起点…え?」




どうやら雨の予測方法を知りたい様子。


それは分かるんだけど。




「ち、近いんですけど!トキ助けてっ!」


「残念ながらこうなったシオンは止められないし、近さに関してリンは人のこと言えないよ?」


「しかもなんか怒ってない!?」


「怒ってはいないけど納得するまで付き合わされるから。リンよろしくね。」




納得するまでっていつまで!?




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