(二)この世界ごと愛したい
そもそもそうなのよ。
シオン将軍がハルに会わずに真っ直ぐエゼルタに向かえば丸く収まるのよ。
「ハルには文句と謝罪と助言を。」
「用件多いね!?」
「貴女に掛けたらしい暗示の文句と、連合軍の折の謝罪を。」
「助言は?」
シオン将軍の基盤はエゼルタだけに留まらず。
…世界を乗せる。
「ハル復活後、第一戦の助言です。」
「え?ハルに戦をさせるってこと?なんで?」
「討つべき将を討てと伝えようと思っただけです。」
「なんでハルが?シオン将軍は?」
質問攻めの私にシオン将軍は淡々と答える。
その目が見据える先には、きっと誰にも見えていない何かが見えているんだろう。
「今俺、戦禁止されてるんで。」
「え?」
「こう見えても敗戦の将なんですけど。誰かさんのせいで。」
「……あ。」
良く考えてみれば。
あれだけの規模の連合軍を率いておきながら、エゼルタ軍は無傷に等しいにも関わらず他の二国はほぼ全滅。
軍人に追われていたのはその二国の追手か。
「ちょっと待って!それ私のせいかな!?」
「なので責任取って送ってください。」
「そっちが侵攻するのが悪いんでしょ!?」
「後はアキトか。」
いやいや私は全然納得出来てません!!!
相変わらず鬼畜は健在ですね!!!
「大体シオン将軍が戦出来ないからってハルを利用するなんて許せない!」
「利用?」
「だってシオン将軍の敵をハルに討たせようって話じゃないの?」
「確かに俺が出れるなら自分でやるけど。出る杭は早めに打つのに越した事ないので。」
もう訳が分からんよ。
そんなのに付き合わされるハルが可哀想。
「誰と戦わせるの?どの国?そんなに急がなきゃいけないの?」
「…もう説明が面倒だな。」
溜め息を吐いたシオン将軍に、またカチンと来た私。