(二)この世界ごと愛したい

そんなに重い病に臥せっていたんですか。


エゼルタの王様。



と言うか、そんな王政事情かなり極秘情報なのではないんですか。政に疎い私でも分かるよ。





「私は会いたいなんて言わないよ？」


「言ってる事滅茶苦茶ですけど。」




「私から頼まなくても、向こうから私に会ってくださいって頼むことになると思うよ。たぶんね。」




正直、確信はありません。


こればっかりは運次第です！！！





「さっぱり読めない。」


「…で、分かってくれた？」


「は？」


「私の本気度。」




本来なら面倒すぎて、他国の政事情なんて関わりたくもないんですよ。


でも、関わってしまえる程に私はトキのこともシオンのことももう大切だと思っている。





「全然。」


「…捻くれてるなー。」


「……。」


「じゃあその時が来たら嫌ってほど分からせてあげるね。シオンをそんな風にしちゃった悪いモノ、私が全部駆逐してあげる。」




だから、人を見限るのはもう止めよう。



大切なものをちゃんと大切にしよう。


守りたいものを一緒に守ろう。






「それが昔も今も私に優しさをくれる狼さんへの恩返しで、打開策ってことでいいかな？」


「…いりません。」


「…ほんっと捻くれてる。」


「悪かったな。」




そして無礼。


シオンに敬語じゃなくていいよって、名前呼んでもいいよって、そんなことは言ってあげない。



…この人の優しさの証明だもんね。





「私エゼルタ政権に大いに首突っ込むから。面倒だけど。その代わり終わったら国中のみんなに敬語で話してね。」


「…貴女の思考、考えるだけ無駄な事だけは良く分かりました。」


「それはどうもー。トキには内緒にしててね。心配かけたくないし止められるから。」


「…と言うか、陛下が病に侵されてるの知ってたんですね。」


「これでも私、王族同士での婚儀に参加してたんですよねー。花嫁として。それくらい何となく気付けますよー。」