(二)この世界ごと愛したい
戦のことも相まって、それはそれは側迷惑な婚儀でしたが。今となっては良い経験でした。
色んな国賓にも会えましたし。
「なるほど。」
「エゼルタ王の子供はユイ姫だけ。トキとの結婚話を聞いて、王位継承権は誰に行くんだろうなーって実はひっそり考えてたんだよね。」
「…貴女の考えははっきりしない。けどユイ姫を甘く見てるならその策は絶対に破綻する。」
トキにも言われたし。
そんなトキに私はちゃんと言い返しましたよ。
「私の需要に勝る姫なんてこの世にいないんだって。私もう姫じゃないけど。」
「…危ない橋を渡るつもりですか?」
「その辺の詳しいところまではちょっとまだ考え纏まってないです。それに、まずは王様に少しでも元気になってもらわないと話も進められないー。」
「…なんで貴女がそこまでするんですか?」
頭良いくせに物分かり悪い!!!
「私はもうシオンが優しいの知っちゃったもん。だからもう死んでも嫌いになんてなれそうにないから。」
「……。」
「次はそれをみんなにも知ってもらいたいです!出来れば一番はトキに!!」
「…やっぱ馬鹿か。」
鬼畜め。
性格悪いのは自分で何とかしないと、そこは私はフォローし兼ねるぞ。
「守るものをちゃんと守り抜く馬鹿なハルの妹なので。私もたぶん似たのかな?」
「…ハル、ね。」
「明日兄としての心得教えて貰ったら?」
「…時間の無駄。」