(二)この世界ごと愛したい
とりあえずさっきの階に戻ります。
どの部屋か探すところからと思っていたけど、その隊士さんは優しい人で廊下で待ってくれていた。
「リンちゃーん!」
「お待たせー。なんか落ち着いたみたいだね。」
「こんな好機もう二度とないかもって思ったらなんか…あー!でもやっぱ神々しい!!!」
白いワンピース。
確かに神事の日もこんな真っ白な衣装で、神紛いのことさせられたっけ。
「神になるのは私もうやめたの。だから神々しいはやめてね。」
「はいっす!」
「…寝るだけだからね?」
「かっ、可愛い!!!」
大事なことだぞ。ちゃんと聞け。
明日は飛んで移動するから早く寝なきゃと私も思い始めて、とりあえず部屋に入る。
「やば…俺世界で一番ラッキーかも。」
「はいはい。私明日忙しいからもう寝ちゃうよー。」
「り、リンちゃん!」
「うん?」
邪に駆られた隊士の目が変わる。
やっぱ、この城の男たちは邪念で溢れてるな。これが普通なのかな。
私アレンデールの城しか知らないもので。
「わっ…。」
私を力の限り抱き締める隊士さん。
と言うか私に何かするとアキトがたぶん黙らない気がする。この人クビにならないかな。寧ろ心配になって来たな。
「リンちゃ…んぐっ!?」
「へ?」
急に解放された私。
倒れ込んだ隊士。
目の前に立っているのは、頭に角が生えたように見える。
…アキト。
服だけ急いで着替えたのか濡れてないけど、髪の毛はまだ少し濡れている。
「お前…。」
「あ、あれ…アキト…おかえり…?」