(二)この世界ごと愛したい



軽いとは…?


疑問に思い首を傾げるとおーちゃんは顔を背ける。




「リンちゃんこれでどうー?」


「とりあえず人目に触れなければ何でも大丈夫ですー。」



戻ってきたワカさんから羽織を受け取って、私はすぐに着る。


おーちゃんの扱いが面倒なので。




「…リンちゃん、その傷…戦傷?」


「うん。」


「痛くない?」


「私の主治医は優秀だからねー。」



私が笑うとワカさんもホッとしたように笑う。




「よし!おーちゃん行こう!」


「…カイ、マジで俺行くん?ただのミケ探しに?」



明らかに嫌そうなおーちゃん。


第一将が猫探しの仕事なんて確かに嫌かも?




「じゃあ私一人で行くねー。」


「オウスケ、頼んだで。」



「どいつもこいつも勝手すぎやろ!?!?」




一人足早に飛び出した私。


カイに頼まれたおーちゃんが追いかける。






酒場に残ったカイとワカさん。




「カイ?」


「…詮索すなよ。」


「詮索も何も、名前もあの戦傷も…あの凛々しさも。もう答えは出てるじゃない。」


「…やっぱ調教しなあかんな。」



私のことをワカさんにきちんと説明していなかったカイ。


たぶん出来ることなら隠そうとしていた。




「アレンデールの曰く付きのお姫様なんて抱え込んで、今度は何考えてるの?」


「…いつも通り金を動かす…のと。オウスケの大事な子になるんやろうなって思っただけや。」


「相手が悪いわよ。彼女が相手じゃオウスケが不憫な想いするじゃない。」


「不憫でも悲恋でも、オウスケはもうええ加減前に進まなあかん。それが出来るんはあの子しかおらん。」




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