(二)この世界ごと愛したい
おーちゃんと私。
でも、心に決めた人がいるらしいおーちゃん。
さらに私はタイプではないらしいし、サラッと恋愛願望がないことを既に打ち明けている。
…これからどうなることか。
「…オウスケのため何て言って、カイは酷いことするわね。」
「俺は優しいで?」
「…あの子に重ねてる?自分が手に入れられなかったからオウスケまで巻き込むの?」
「お嬢は俺の恩人の宝物や。俺を救ったように、オウスケもって考えてるだけやで。」
カイの恩人。
それが誰なのか、私が知るのはまだもう少し先の話にはなるけれど。
ワカさんはカイに他意がないことに安心したようで、酒場を出た私とおーちゃんを思い笑みを溢す。
「オウスケももう子供じゃないんだから、カイの心配何てもういらないわ。」
「…あの童顔が感覚狂うんやって。俺にとってはまだちっこいオウスケのままやし。無意識に世話焼いてまうねん。」
「恋愛何て特に誰かに言われてするものじゃないんだから、ほっとくのが一番よ。」
「あーけどオウスケ変なとこ素直ちゃうから、また子供みたいに拗ねてへんか心配や。」
「もう!カイがそうやって過保護にするからオウスケが成長したくても出来ないんじゃない!」
怒られて肩を落とすカイ。
ワカさんはその様子をまた楽しそうに見て笑う。
「…でも、確かにリンちゃんなら大丈夫かもね。」