(二)この世界ごと愛したい




「お、おーちゃんおーちゃんっ!」


「何やねん。」


「あれ何っ!?」


「何って、ただの風船やん。」



現在ミケさん捜索中。


とりあえずこの王都から探そうという話になり、王都の城下町を二人で歩いています。



そこで見つけた風船という物体を大量に持っているおじさんを発見し、思わず目が輝く私。





「買って!!!」


「自分で買えや!あんなん子供しか買わへんぞ!?」


「…お金忘れた。」


「…ほな諦め。」



第一将のくせにケチだな。


ハルやるうはもちろん、アキトでも買ってくれるぞ。




「…他国の将印って効力あるかな?」


「お前悪魔みたいなこと考えてんな!?」


「無理かな?」


「無理じゃなくてもさせへんわ!!」



つまり、多少効力はあるわけだな。


どうしてこの風船は浮くんだろう。重力に抗って浮遊すると言うことは空気よりも軽いのか。




「…気流もない。空気の質も変化はない。やっぱり中に入ってるのが空気よりも軽い…ってことは水素か或いはガス…?」


「何の呪文や。」


「気になるー。おーちゃんやっぱり買って。」


「嫌や。」



…こんなケチな人周りにいなかったな。




「お嬢さん。」


「…え?」



風船を持ったおじさんが私を呼び止める。


そして、風船を一つ私に差し出す。




「わ…私お金忘れてきちゃって…!だから今は買えないの。ごめんなさい。」


「お代はいいよ。」


「…だ、ダメダメ。大丈夫!また次お金持ってくるからそれまでのお楽しみにする!!」



一瞬心が揺らぎそうになったけど耐えた。




「オウスケさんの連れには優しくしねえと。だからお嬢さん、構わねえよ。」



「…おーちゃん。」


「…だあー!もう!払えばええんやろ!?」



結局そんなことを住人に言われたおーちゃんが、優しさを発揮して。


丁寧にお支払いしてくださいました。



私は買ってもらった風船を一つ握りしめて、るんるんと足取り軽く街を歩く。




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