(二)この世界ごと愛したい
話は色々脱線しつつ、カイと仲良くお話していると日が傾いて来て。
今日は酒場を営業するらしい。
「俺のビジネスパートナーやから、店開けてもここにおってもええよ。」
「ここにって、私店員さんやるの?」
「好きにしててええよ。ここの客の話はお嬢にとってはおもろい話ばっかりやろうし、お嬢がおったらさらに儲かるやろうし。」
私がいたら儲かる?
それも気になったけど、私にとっては面白い話が聞けると言うので。とりあえず営業中お店にお邪魔することにした。
「おーちゃんはいいの?」
「たぶん家帰ったんやろうからほっといてええよ。」
「だから別の護衛の人が来たんだね。」
「…え。」
この酒場の周辺に、数人の護衛のような人の気配がするのは気のせいじゃないはず。
おーちゃんの代わりなんだろう。まだ完全に信用出来ない私だけじゃなくて、ちゃんと守れる人が常にカイの側にいるように徹底している。
「おーちゃんが呼んだんだね。」
「…お嬢すまん。俺もオウスケも悪気はないし、お嬢を疑ってるわけちゃうねんけど。」
「うん?私は大丈夫だけど?」
「そ、そうか。ならよかったわ。」
別に大丈夫だけど。
私の当初の勘は、やはり当たっていたのかもしれない。
カイはやはり、この国にとって要人なんだ。