(二)この世界ごと愛したい



だけど、安堵とは別のはっきりしない感情があるのも事実だった。




「ほな、オウスケ。今日も店開けるけどここにはおらんでええから。」


「…マジ?」


「大真面目や。」


「俺は何すればいいん?」


「外で護衛してもええし、他に任せて帰ってもええし。好きにしてかまへんよ。」



突然言い渡された久々の暇。


おーちゃんは喜ばしいのか寂しいのか不思議な感情を抱えて、店を出ることになった。





「…え、暇なんていつぶりやろ。」



それも分からない程に、休んでなかったことに驚きつつ。


おーちゃんは一旦家で考えることにしたようで、再び私と会うこともなく帰宅するのだった。




そして店内に残ったカイは、おーちゃんの蟻の如き小さな器を嘆き悲しみつつ。


これからどうしようかと一人悩む。




< 511 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop