(二)この世界ごと愛したい
だけど、安堵とは別のはっきりしない感情があるのも事実だった。
「ほな、オウスケ。今日も店開けるけどここにはおらんでええから。」
「…マジ?」
「大真面目や。」
「俺は何すればいいん?」
「外で護衛してもええし、他に任せて帰ってもええし。好きにしてかまへんよ。」
突然言い渡された久々の暇。
おーちゃんは喜ばしいのか寂しいのか不思議な感情を抱えて、店を出ることになった。
「…え、暇なんていつぶりやろ。」
それも分からない程に、休んでなかったことに驚きつつ。
おーちゃんは一旦家で考えることにしたようで、再び私と会うこともなく帰宅するのだった。
そして店内に残ったカイは、おーちゃんの蟻の如き小さな器を嘆き悲しみつつ。
これからどうしようかと一人悩む。