(二)この世界ごと愛したい



そんなことがあったことなど露知らず、私はお昼過ぎまで眠り続けて。


目を開くと、昨日おーちゃんが買って来てくれた風船が天井に集ってるのを見て嬉しく思い起き上がる。




「風船の…研究だ。」



寝起きではあるものの、興味のある物への探究心は旺盛なので。


私はすぐに一つ手に取り早速風船を開けようと試みるが、中々上手く行かず。やはりおーちゃんに言われた通り割るしかないのかと思い知る。




「…勿体ないな。」



中身が気体である以上、無闇に燃やせば爆発する恐れもあるので下手なことは出来ない。





「お嬢起きとるかー?」


「ん?起きてるよー?」



入るでと言ってから部屋に入って来たカイ。




「風船で遊んでたん?」


「遊んでるんじゃないよー。中身が何なのか知りたいんだけど開けられなくて困ってるの。」


「変な子やな。割ったらええやん。」


「おーちゃんもそう言ってたけど…。」



やっぱ、それしか選択肢はないのか。


黙り込んだ私を不思議そうに見ているカイ。




「…せっかくおーちゃんがくれたのに、割るの勿体なくて割れないの。」


「その理由可愛すぎるやろ。オウスケに聞かせてやりたいわ。」


「やめてやめて。言わなくていい。結局そうするしかないから、割らなきゃ…だよねー。」



残念です。


非常に心が痛みますが、研究のためには仕方がない。




「…お嬢はほんま、ええ子やな。」


「そう?」


「絶対ええ男捕まえや。碌でもない男やったら俺許せへんで。」


「え?何でカイが許せないのー?」



と言うか、私恋愛願望ないって言ったよね?


何回も何回も伝えて回ってることなので、そろそろ恋愛から離れたいです。




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