(二)この世界ごと愛したい



「…あの?ここは?」


「私の家の倉庫よ。ここで話しましょう。」


「はあ。」



何やら賑わってる街から少し外れた、閑散とした場所にある倉庫。


怪しすぎるんですけど。



どうやら普通にお話してくれる感じではなさそうな気がしてきました。




「オウスケさんに近寄らないで。」


「…近寄ったつもりはないんですけど。」


「オウスケさんはみんなのオウスケさんなのよ!」



この街を。この国を。


一人で守ってくれるヒーローみたいな人だもんね。




「…私はまだおーちゃんと出会って日が浅いし、まだ分からないことも多いと思うけど。それでもみんな少し依存しすぎだよ。」


「何ですって!?」


「おーちゃんは強くて優しいよね。だからみんなを守ってくれるんだよね。」


「そうよ!オウスケさんはこの国の第一将だもの!」



パルテノンの第一将。


その重責も、国民の命も、全て背負って一人で戦わなきゃいけないおーちゃん。







「じゃあそんなおーちゃんのことは、一体誰が守ってあげるの?」



私と同じ地獄を経由したと言っていたおーちゃんは、きっと経由したんじゃなくて。


たぶんまだ、抜け出せてはいないんだろうと私は思った。行ったり来たりを今も尚繰り返している。




「他所者のあんたに何が分かるのよ!オウスケさんは強いのよ!ヒマリさん亡き後もお一人でこの国を守ってくれてるの!」


「ひまりさん?」


「オウスケさんの婚約者よ!戦死されてしまったけど、ヒマリさんの剣と共にこの国を守ってくださるわ!」




そうか。


婚約者である人を戦で亡くし。その人の剣を譲り受け双剣の剣士をやってるのか。





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