(二)この世界ごと愛したい
こうして昨日同様、街を走り回ることになったおーちゃん。
「アイツどこ行ってん!?」
手当たり次第探してみるものの、一向に見つからない。
「キャー!オウスケさーん!」
「今日も可愛らしいわー!」
「オウスケさん寄って行かねえか!?」
ウロウロしすぎて街人たちに声を掛けられる。
昨今のアグレッシブな女性達に捕まえられるわ、ご飯屋さんに食べて行かないかと誘われるわ。
「今急いでんねん!堪忍な!」
「えー、オウスケさんお茶しましょー?」
「せーへん。それより昨日俺とおった子見てへんか?」
「あの可愛い子?見てないですけど?」
おーちゃんはまた街を走り回り、たまに人に聞いたりしながら私を探してくれている。
「攫われたりしてへんやろな…。」
夕陽が傾き出して。
明るさが乏しくなってくると心配が増すおーちゃん。
そんな時、耳に入ってくる女性の声。
「あの女いつまで閉じ込めておく?」
「オウスケさんを諦めるまでよ。懲らしめておかないとまたつけ上がるんだから。」
「でもオウスケさん街中探し回ってるって話よ。」
「大丈夫よ。ヒマリさんに似てもに似つかないあんな女。オウスケさんもすぐに忘れるわ。」
自分の名前も勿論のこと。
ヒマリと言う名前に過剰に敏感なおーちゃんの耳。
「…誰がヒマリに似てへんって?」