(二)この世界ごと愛したい
「よし食べた!行こう!!!」
食べ終わった私は、アキトを急かす。
隊員ともそれなりに会話しつつ、戦の報告を受けつつ、アキトはちゃんと将軍していて。
…私より食べるのが遅い。
「あーもう!お前落ち着けよ!?」
「いつまで喋ってんの!私昨日頑張ってきたのに!約束と違う!!」
「お前が言うな!今日も大人しくまだ寝てればいいものを…。そうだサクてめえ、俺の部屋勝手に入るなってハナに言っとけ!?」
突然飛び火したサク。
その騒動はどんどん広がり、すぐに広間は大賑わい。
「隊長大目に見てくださいよ!ハナちゃんの行動力は今に始まったわけじゃないんだし!!」
「うるせえ!邪魔ばっかりしやがって!」
「隊長こそリンちゃん独占しすぎって苦情殺到してますよ!!」
「ああ!?誰だそんなふざけたこと言ってんのはあっ!?」
そんなアキトの問い掛けに。
この場にいる大半の隊士が、真っ直ぐ手を挙げる。
…あら、嬉しいです。
「私って意外とモテる?」
「「「え…。」」」
嬉しくて思わず大それたことを口にした私に、何を言ってるんだと言わんばかりに驚いたようで。
みんなが目を見開いている。
「…調子乗りましたすみません。」
「そうじゃなくて。アレンデールでもリンなら引くて数多だったでしょ?」
「ないない。私戦の時以外は城の中でしか行動出来なかったし。」
「この無自覚さはそれ故か。アレンデールの人達が恐れていたことがこれからどんどん起こるんだね。」
恐れていたこと?
トキは何が恐ろしいと言うんだろう。
「ほら、昨日もソルの忍者将軍に嫁に来いって言われてたじゃん。」
「はあ!?」
あー。そんな事もあったね。
アキトが驚き慌てているけども、アキトが慌てる意味は全然分かりません。
「秒で断られてたけど。」
「そりゃそうだよー。忍者には心惹かれるけど、結婚は無理かなー。」
「レンとの結婚話ももう白紙になったんだし、リンがその気になればできるよね?」
「その気にならないから無理なんだよー。」