(二)この世界ごと愛したい



ようやく城を出られることになって、自由に色んなところに行けるようになった。


それなのにまた結婚して家庭に入るなんて、私には到底許容し難い。




「確かにリンは大人しく慎ましく家庭に入るタイプじゃないよね。残念だったね、アキト。」


「なんで俺なんだよ!?」


「リンにこの城にずっと居てほしいと思ってるでしょ?」


「アホか!思わねえよ!!!」




うん。


アキトはそんなこと思わないよね。



誰よりも私の自由を願ってくれてることを知っている。視察に行くために、その命を賭けてくれたことはきっと忘れない。





「ずっとは居られないけど、私この城好きだよ。雰囲気がまんまアキトって感じがするー。」




その包容力で、城ごと包み込んでいる様だ。


和やかで賑やかで、ちょっと治安の悪いお兄さん達はいるけども。それでもみんな楽しそうで明るい。




…これを築いたのが、アキトという将軍。





「リンは本当に可愛いね。」


「え、今可愛い要素あった?」




どうなんだと周りを見ると、みなさんそれはそれは照れていたり嬉しそうにしていたり。


私の言葉は、彼等にとっても褒め言葉だったようです。





「俺は今日は戦の後処理あるから、アキトと遊んでおいで?」


「えートキは行けないの?」


「全体の引き継ぎの確認したいからまた王宮にも顔出さなきゃいけないし、出来るだけ早く終わらせるよ。それまでいい子に待ってて?」


「…うん。また王宮で不当な扱い受けたら私に言って!スーザンと友達になったし、トキに逆らう人がいたらすぐ止めるように言ってもらう!」




王様の友達とはやっぱ便利!


スーザンは私のお願いを聞いてくれる!気がする!!




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