(二)この世界ごと愛したい
正直ここでそんなに手を貸すつもりはなかった。
アキト軍強化は必須だと感じてはいたけど、私が口を出すことではないと一線引いていた。
元々、昨日だってそんな遠慮がなかったわけじゃないし。アキトの顔を立ててあげたかったのはあるんだけど。
「この強化はトキの中で急務なんだろうね。」
「……。」
「ちょっと焦った采配にも思えるけど、トキには急ぐ理由がきっとあるんだね。」
「…あんま探ってやるな。」
おっと。
また私の悪い癖が出てしまった。
「ごめんごめん。深入りするつもりはないから安心していいよー。この癖やめろってハルにもよく怒られたんだった。」
「俺も鬼人に会いてえ!!!」
「アキトは会ってもいいことないよ。たぶんボコボコにされて終わりだよ。それよりどの街行くのー?」
私はコーヒーを求めて、商業が盛んな最寄りの街へ行くことになりました。
その街は、アキトが私の機嫌取りのために金平糖を買った街らしくて。城からも比較的近い。
「俺は鬼人にいつか勝てると思うか?」
「一生かけてもそれは無理。」
「分かんねえだろ!?」
「分かるよ。ハルは誰にも負けない。第一私に敵わないのにハルに敵うわけないじゃんー。」
街への道中。
ハルの話を楽しくアキトと話す。
「お前にも俺は勝つ!!!」
「アレンデールの掟では、ハルに勝った人は私と結婚できる権利が貰えるらしいよ。」
「何だと!?」
「私は知らなかったけどるうが言ってたー。」
私の気持ちをフル無視した、謎の掟。
るうはまた今日もハルに戦いを挑んでるのかもしれないなー。