(二)この世界ごと愛したい
するとアキトは真剣な顔で考え込む。
アレンデールの掟なんて、アキトには何の関係もないだろうに。
何をそんなに考えることがあるんだ?
「…よし、決めた。」
「何をー?」
「もし鬼人に勝てたら、その時は俺がお前を嫁にする。」
へー。
そうなんだー。
アキトも誰かと結婚したいとか思うタイプだったんだー。
「……頑張れ?」
「軽い!」
「実際無理なんだって。ハルもそれを知ってるからそんなこと言い出したんだろうし。」
「俺は本気だ!しかも俺は今お前に…、あ…いや。それはいいか…。」
ハルに勝つ…か。
そんなことがもし起こり得るなら、それは確かに。そんな人となら結婚するのもいいかもしれない。
「お前鬼人の弱点とか知らねえかあ?」
「…強いて言うなら。」
「あんのか!?」
ハルの唯一の弱点。
それはきっと。
「私かな。」
国よりも。
ハル自身の命よりも。
私の存在がハルにとっては、何より大切なんだと痛いほど知っている。
「だから今のハルは最強なの。」
「…あの人マジで男の中の男だわ。」
兄馬鹿を盛大に披露して、アキトもハルへ憧れの想いを募らせて。
思いの外街に早く到着出来ました。