(二)この世界ごと愛したい
「それだけ今までるうに頼ってきた証拠だからね。謹んでこの寂しさは抱えて生きていきますー。」
「…ルイも今頃同じ気持ちだろうなあ。」
「るうは寂しくなったら私に会いに来ると思うから、きっとまだ大丈夫なんだよ。」
「へえ。」
きっと、今は大刀の特訓だろうな。
そして将軍になるための手続きとかで色々忙しくしてそう。
「お待たせしましたー!」
コーヒーを運んできてくれたお姉さんにお礼を伝えて、私はすぐに口を付ける。
…美味しい。
美味しいのに、やっぱり違う。
私が好きなのはもっとあっさりしてて、温度も僅かに低い。そんなるうのコーヒー。
「おい、顔に寂しいって書いてんぞ。」
「そんなことないもーん。私はいつもこんな顔ですー。」
「明日からの分はハナに頼んでやるから元気出せ!」
「本当っ!?」
それは嬉しい!
ハナちゃんのコーヒー飲んでみたい!!!
一喜一憂する私の耳に、他の席のお客さんの流言が届く。
「昨日アレンデールの魔女がこの国に現れたらしいぞ!」
「俺も聞いた。国を追放されて、またセザールに戻って来たんだな。厄介事にならねえといいが。」
「街一つ消されたんじゃ堪んねえよ。」
私の悪名は健在のようで。
自分のことですが、客観的に捉えられる私の頭は本当に都合が良い。