(二)この世界ごと愛したい
レンの言葉を聞いた女性達は、ポカンと呆気に取られ立ち尽くす。
その間に自室へ足を進めるレンは部屋に着くなり私をベッドに横にする。
「とりあえず解熱剤で様子見るね。」
「は…はい。」
薬はこの部屋に揃っているようで、部屋の棚を漁りすぐに手渡された薬を私もすぐに飲み干す。
今は苦くて良いから早く楽になりたい。
「…ありがと。」
「どういたしまして。そのまま横になってていいよ。」
「…はい。」
先程の告白が頭の中を反芻して。
もう熱くて熱くて仕方ない。
「トキのお兄さんは?」
「お家に…帰ったんだと思う。」
「そっか。」
帰ったのが自宅か城かは知らないが。
シオンも将軍だし戦は出来ないとは言え忙しいだろう。
「…リン。」
「…?」
「会えたらちゃんとお礼を言いたいと思ってたんだ。リンのお陰で、俺はちゃんと医術師として存在することが出来た。」
そんなこと気にしなくていいのに。
それにお礼を言うなら私の方だ。レンのお陰で、ハルにまた会うことが叶った。
「ありがとう、リン。」
「…ん。」
相変わらず綺麗に笑ったレンは、やっぱり王子様っぽくて思わず私も笑ってしまう。
「元気そうだから、このまま怒っても良い?」
「え。」
「さっき小耳に挟んだんだけど、近隣の戦場にアレンデールの姫が現れて戦を終わらせたらしいんだよね。」
「あ。」
やっぱ戦場からこの城は近過ぎたか。