(二)この世界ごと愛したい
素直に話した私をキッと睨む女官の方々。
もうどうしたものか。
「…皆さんにとって私はきっと邪魔ですよね。だからこそお願いします。」
「何を願うと言うの。」
私は残念ながら恋愛願望はない。
レンの側にもこの先きっと居られる時間は少ない。
「レンの心を、私から奪ってみてください。」
そうすれば、きっと。
レンも寂しい夜を過ごさずに済むだろう。
私を想って焦がれることもないだろう。
『孤独な夜に二度と怯えることがないよう。あなたの光でこれからもレン様を支えてあげてください。』
クロード将軍に頼まれたけど、やっぱりどう考えても私には荷が重すぎるので。
「一人にしないであげてください。」
この場の誰でもいい。
誰でもいいから、どうかよろしくお願いします。
「…俺より自分の心配してよ。」
サラッと現れたレンさん。
そんなレンに目を丸くして慌てふためく女官の皆さん。
「あんまり長湯しないようにって伝えようと思ったけど、お風呂にいないし。こんなところでみんな揃って…リンを虐めてたの?」
「レン様…っ!」
「俺は何されてもいいけど、リンは別。」
誰か私に平穏をください。
変な修羅場に巻き込まれてる。
「リンのこと大事に出来ないならここには置いてあげられないよ?」
「ちょっとレン、言い過ぎ。」
「本当のことだよ。俺はリンに傷付いてほしくない。」
「残念ながら傷付いてません。」
こんなことで傷付いてたらキリないよ。
「可愛いリンが少しでも傷付く可能性があるのも俺は嫌だから。」
そう言ったレンが私を射抜くように見つめ。
そのまま私の手を握る。
こんな甘い姿を晒すもので、周囲の女官の方々が思わず当事者でもないのに頬を染める。