(二)この世界ごと愛したい
「…アキトが城でレンに会うなって言ってた意味が分かった気がする。」
やっぱりこの甘い雰囲気は、女性であれば誰でもこうなるんだ。
私だけじゃなくてよかった。
「アキト?」
「…何かまた怠くなって来た。早くお風呂入りたい。」
「やっぱりお風呂は俺の部屋で入ろうか。」
「うん!?」
部屋にあったの!?
最初から使わせてくれたらこんなことにならなかったのでは!?
「…お風呂上がりのリン見ると、俺が何するか分からなくて不安だけど。どう転んでも不安だから我慢してね。」
「なっ、何もしないで!?」
レンは私の手を取ったまま歩き出す。
そんな王子様みたいなレンの姿を未だ呆然と見つめる女官たちを私は心配しつつ、再び部屋に戻ることになった。
虐めを受けていたらしい私は、あまりこの城にいない方がいいと感じた。
私さえ居なければ、女官同士みんな仲良く過ごしていたんだろう。波風立てているのは私だ。
「…明日の朝には出発しよっか。」
「え?そんなに早く?」
「うん。私がいると、みんな気が立っちゃうみたいだから。」
そう言うと、困ったように笑うレン。
「…リンは、俺に違う誰かを好きになってほしいって思ってたんだね。」
「…アキトにも言ったけど、私を好きでいても良いことなんて一つもないよ。」
「知ってるよ。リンはそうやって、俺たちが傷付かないように線を引いてくれてるんだよね。」
「っ!」
図星…というか。
誰だってそう思うんじゃないのか。自分を好きになってくれるだけでも有り難いんだから、せめて負う傷を減らしたいと思うのは普通じゃないのか。