(二)この世界ごと愛したい




「リンがせっかく引いてくれた線、悪いけど壊すね。」


「へ…?」



その線は、出来るだけ傷付けないように。いつでも私を忘れられるように。私が足枷にならないように。


そんな想いから私が勝手に引いた線。




…壊す???



疑問符ばかりが頭に浮かぶ私の頬に、レンの手が触れる。




「っっ…!」



冷たい手。


ひやっとするその感触が今は…心地良い。




「やっぱり熱いね。」



ふわりと笑うレン。


私を捉えて離さないその紺碧の瞳は、私を絡め取り動けなくしてしまう。



まるで、鳥籠のように。




徐々にレンの顔がまた近付いてくるのは分かってる。


避けようと思えば避けれるんだと思う。だけど、私には出来ない。




だから、そっと目を閉じた。






「…リン。」



名前を呼んで、静かに唇が重なる。




「んっ…。」



キスの合間に漏れる声も、今は気にしていられない程に…もう熱い。


風邪の熱か、お酒の熱か。



はたまた私自身の熱なのか、もう分からない。





「れ…っん。」


「ん?」



レンが悪い。


悪いことにしてほしい。




私が引いた線は、もちろんレンが傷付けないための予防線だった。


それと同時に、私は私が傷付かないための防衛線だった。








「…会いたかった。」




ほんとは、もっと早く。



会いたかったの。





「れ…ンっ…。」



どんどん上がる熱に、朦朧とする。


何も考える気にもならない。




唇は塞がれたままレンの手が、私の服の中へ滑り込む。




「ふっ…んぁ…っ。」



身体が意思に反して跳ねる。


レンの手の冷たさに驚きつつも、やっぱり私にはその温度が心地良くて。




「可愛い。」


「や…あっ〜…。」



唇から離れると、そのまま首筋へキスが落とされる。




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