(二)この世界ごと愛したい



私はどうしてしまったのか。


本来なら拒まなきゃいけない。お互いのために。



分かってるのに…。





「リン?」



私からレンに手を伸ばした。


こんな自分を見られたくなくて、情けない顔を晒したくなくて。



ぎゅっとしがみ付くと、レンは逆に固まる。




「あんまり可愛いことしないで。」


「っだ、だって…!」


「…もう、リンは本当に俺をどうしたいの。」



どうしたいんだろう。


私にも分からない。




「れ、ん…ごめん。」


「え?」



それでも、今だけは…どうか。





「…離さないで。」



困らせるって分かってる。


矛盾してるのも分かってる。


無責任なのも分かってる。




「リン…大丈夫?」


「…大丈夫…じゃない。」



せっかくの線を、打ち破って。


この部屋にあんな強いお酒を置いていたレンが悪いと、思わせていてほしい。





「なんか、もう…変かもしれない。」


「…そっか。」



レンにしがみ付いたままの私を、レンがぎゅっと抱きしめ直す。




「俺の力じゃないね。」


「へ?」


「リンに芽生え出してるその感情は、リンの周りにいる人達が目覚めさせたものだよ。」


「…?」



私の感情は目覚めさせられたの?


周りにいる人達って?




「あまりの可愛さに我を失うのを通り越して、冷静になってきた。」



どれが可愛いのかは疑問だが、それは良かった。


実はもう、恥ずかしくてどうにかなりそうだったんです。




「リン。」



その声が。


その瞳が。


どうも私を縛り付けているようだ。





「おやすみ。」


「っ…。」



ひんやりとしたレンの手が、いつかを思い出すように私の瞼に触れる。


昂る感情全てが、解けていくのが分かる。




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