(二)この世界ごと愛したい
「…ただいまー。」
「お嬢おかえり。ご苦労さん。」
私がお借りしている奥の部屋に、椅子に座ってミケさんと戯れているだけのカイがいた。
「用があるって嘘だったのー?」
「嘘ちゃうよ。早めに済んだだけや。けど、セザールの王族とのツテは今求めてへんから、念のため。」
「…ふーん。」
「オウスケに任せて問題あらへんよ。」
そう言うものなのか。
「とは言え、おーちゃんのあの格好何?変だったよ?」
「あー…仮にもお嬢の元旦那やろ?見た目から負けんようにって張り切ってたわ。」
「だとしたら相手が悪いよー。レンってそんなこと気にするタイプじゃないし、微塵も興味ないと思う。」
「オウスケの空振りやな。」
ケタケタと楽しそうに笑うカイ。
私は下の様子が気になりつつも、とりあえずカイにこの出張の報告を済ませる。
「カイのお陰でエゼルタ軍とお手合わせすることになってねー。とりあえず片付けたけど。戦は私が事前に説明した通りの結果だよー。」
「…その怪我はエゼルタ軍?戦か?」
「どっちも無傷で終わらせたんだけど、レンの城にお邪魔した時に修羅場に巻き込まれて。女の子に殴られましたー。」
「おっかない女やな。」
今朝の揉め事でのほっぺの傷。
それを見たカイが何故か申し訳なさそうにしていたけど、事情を説明するとホッとした様子。
「白狼とのデートは楽しめたか?」
「…デートじゃない。シオンにここで働いてるの結局バレちゃったのー。ごめんね。」
「俺は構わへんよ。寧ろ次ここに来る時が楽しみやわ。白狼がお嬢にデレデレしてんの見たい。」
デレデレはしないと思います。
そしてシオンが密かにカイを斬ろうとしていたことは、伏せておきます。
今はもうそんなことしないはずなので。
「レンの気が済んだらまたセザールまで送り届けてくるから、今日は何も出来そうにないのー。」
「お嬢は多忙やな。夜の営業も今日は休んでてええよ?」
「いや、それは私個人的に居たいから!それまでには絶対戻る!」
「体調大丈夫なん?」
「私の主治医は優秀だって言ったでしょー?」
ゴッドハンドの持ち主だからね。
「無理せんようにな。」
「うん!」
そこからカイと情報交換したり、他愛のない話をしたり、ミケさんと戯れたりして過ごしていた私。