(二)この世界ごと愛したい
私が居なくなった後、おーちゃんはレンを見てぶっきらぼうに言葉を投げる。
「俺はオウスケ。一応この国の第一将なんやけど。」
「うん。」
「…ここに来た目的は何なん?」
「え?」
レンはきょとんとした表情でおーちゃんを見る。
「あるやろ、何かしら目的。」
「リンが働いてるって聞いたから?」
「やから何でそれでわざわざ王子がここまで来たんやって話をしてんねん。」
「…可愛いお嫁さんが今どう過ごしてるのか知りたいなって思っただけだよ?」
嘘偽りないその言葉。
それを聞いて今度はおーちゃんが不思議そうな顔をする。
「お、お嫁さんて…。お嬢との結婚はもう無効やろ。」
「そうだね。世間もリンも、そう思ってるんだろうけど。リン以外と結婚したいと思えないし、この気持ちをなかったことにも出来ないから。」
「…随分勝手やな。父親殺して無理矢理嫁がせたらしいやん。」
「考えないでもなかったけど、無駄だって分かったからね。痛いのも苦しいのも、リンは誰にも背負わせないから。」
そもそも、仇討ちという形で謀反を起こした私。
レンに責任はないと考えている。その父と兄を討ち倒してしまった私を、逆に恨んでいても本来おかしくはない。
「…アホらしい理由やけど目的は分かった。」
「夜の飲食店で働いてるって聞いた時は気が気じゃなかったけど、少し安心したよ。」
「安心?」
「リンのこと、守ってくれるんでしょ?」
レンがそう言って笑い掛けると、おーちゃんは一瞬驚いて。
ようやく似合わないサングラスを外す。