(二)この世界ごと愛したい
「城行ってどうするん。」
「今はどうもしないよー。」
「今はって何や!今はって!何かするつもりなんか!?」
「抜け道探してその内忍び込みたいの。」
実はずっと行きたいと思ってたんです!こんなに立派なお城だもの!
きっと読んだことない本がたくさんあるはず!!!
「また悪巧みか!?」
「またって失礼だなー。私まだこの国で悪巧んだことないよー。」
ギャーギャーと吠えるおーちゃん。
それを見たレンが少し笑う。
「リンは本が読みたいだけだよね。」
そんなことを言ったレンに、思わず私は目を丸くして驚く。
「なっ、何で分かったの!?」
「リンって意外と分かりやすいよ?」
「言われたことないけど!?」
レンってたまに驚くこと言うな。
私これでも軍略も扱ってた身なので、分かりやすいと言われると肝が冷える。
気を付けねば!!!
「本?」
「おーちゃんから陛下に頼んでくれたりするー?」
「…勝手に忍び込まれるよりマシか。ただ期待はせん方がええで。」
「大丈夫だよー。私がこの国で過ごすのを黙認してる時点で、器の大きい王様だなーって思ってるから。」
初日の件で、王様は私が王都にいることを知っている。知っていて捕らえもせず、特に何の沙汰もなく、私を自由に過ごさせている。
なので、ここの王様は過度の変人な上、大らかで優しい人なんだろうと窺える。
だから大丈夫。それでもし断られたら城に乗り込んで文句言ってやる。
「この私を放任するなんて、大した王様だよ。」