(二)この世界ごと愛したい



実のない話をしている二人を一旦置いて。


私はアレンデールの方角の空に目を向ける。




…ハル、怪我しないでね。


心の中でハルに届くように祈る。この祈りは、きっとハルに届くと信じてる。





「お嬢ー、行くでー。」


「…うん。」



一通りぶらりと歩いた後、カイの酒場に再び戻って来た。


カイは変わらずカウンターの中でのんびり開店準備。




「おかえり。」


「ただいまー。」



私たち三人が戻ると嬉しそうに目を細めるカイ。


これだけ見ると本当にイケてるおじ様。




「アレンデールの進軍始まったらしいでー。」


「早いなー。例の不戦期間あるから鬼人も焦ってるんかな。」



ハル、バレてるよ。


アレンデールの不戦期間は各国で有名なお話らしい。内容はくだらないのに。




「お嬢の読み通りこの戦はアレンデールが勝つとして。問題は落とし所やな。」


「……。」


「敵将討った後、鬼人はどう動くやろな。」


「なーに?私に探りを入れてるのー?」



カイが何かしらの情報を得ようと分かりやすい言い回しをするので、思わず不機嫌になる私。




「堪忍な。今回の戦、鬼人の目的がはっきりせーへんから。どうなるんかなって思っただけやで。」



ハルの目的。


それを考えると私の機嫌は更に悪くなる。




「…知らない。」


「…そうか。ほな、お嬢アップルパイ食べて機嫌直してくれへん?」


「食べるっ!」



優しいカイは私だけではなく、おーちゃんとレンにもそれぞれアップルパイを切り分けて。コーヒーまで添えてくれる気配り力を発揮。


美味しくて嬉しい私は、罪悪感が芽生え悪態を謝ることにした。




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