(二)この世界ごと愛したい
「…ハルに直接聞いたわけじゃないから確信はないけど、たぶんソルの領土適当に奪って帰って来るんだと思うよ。」
「え?適当?」
「アバウトでごめんね。でも、ハルって…そういう人だから。」
今回の戦の目的。
私がソルの第一将を討ってほしいと頼んだから。嫌だと言ったから。ただ、それだけ。
国のことも戦果もハルにはきっとどうでも良いこと。
だから、体裁を保つためにかなり大雑把に領地を奪って帰国するんだと思った。
…ハルは、目的以外に興味がない。
「私それ以上は分かりませんー。」
「ええよ。おおきに。」
私ほど国のことを考えていないと言ったハル。
だから王座に座らないと決めた。それは王座に興味がないから。そして国にも。
つまり、私が絡まなければハルは国をいつでも捨てられる。
「レンってさ、セザール以外でも生活出来そうだよね。」
「え?」
「ゴッドハンドあるし、どの国でもきっと重宝されると思うよ?」
「うーん。確かに場所に拘りはないかな。母国って言っても愛着もないし。」
それを聞いて、ハルもそんな感じかなと思った。
「王族ってだけで、国に縛られるんだもんね。レンは国を出たい?」
「出るのも入るのも面倒だからいいかな。」
レンらしい考え方に笑ってしまう。
確かに王族が国を出るのも、他国に入るのも面倒極まりない。私みたいに浪人するならまだしも。
「…確かに、めんどくさいね。」
いつかハルにも自由を…と考えたけど。
ハルはそんな理由でアレンデールにいるわけじゃないと思い出した。
だから私が、ハルを自由にする世界を作りたいと思ったんだ。