(二)この世界ごと愛したい

「私全然気にしてないよー。今となっては罪人だし、セザールの重役の方々のメンツに関わるから遠慮したいだけで。」


「…お嬢が罪人？」


「…あれ？謀反のこと知らないの？」



おーちゃんって世間知らずか？


少し外に出ただけの私でも度々その流言は耳に入った。知らないわけないよね？




「王と王子の斬殺やろ？」


「知ってるじゃん。」


「…王子もお嬢が罪人やと思てるん？」



おーちゃんどうした。


私の謀反について、レンの意見を聞こうとしているが。当の本人はまたきょとんとしているよ。



レンにこの手の話は無意味だと思う。




「罪人…になったから、俺との結婚が白紙になったんだよね。」


「は？」


「俺は医術師だし。人を殺めることを賞賛するわけにはいかない。」


「けど、セザールがお嬢にしたこと考えれば責めれる立場でもないやろ。」


「責めないよ。初めて父に感謝も出来たし、俺の人生も捨てたもんじゃないなって思えたから。」



レンがあのアホ王に感謝？


かなり嫌っていた記憶がありますけど？嫌いとか通り越して無関心だったよね？




「……。」



ただ、そんなことを聞いてしまうと。


仇討ちと言う形でも、斬ってしまったことに罪悪感を感じてしまう。





「リンと巡り会わせてくれたことだけは、感謝しないとね。」


「…へ？」



それが、アホ王に感謝する事由か。


相も変わらず綺麗に笑うレンを見て、私はまた胸が鳴る。