(二)この世界ごと愛したい
レンの想いは、実は少し苦手かもしれない。
私にとって、その想いの丈は計り知れないもので。未知なるもので。
…恐怖さえ覚える。
「と、とにかく…王宮は…うん。私は中には入らないけど、近くまでなら大丈夫。」
「ありがとう。」
結局行くことになってしまった。
「お嬢無理すな!?」
「おーちゃん心配してくれて嬉しいよー。」
「なっ、し…心配!?」
「違うの?」
「文句あるんか!?」
どこまでも可愛いおーちゃんに癒される。
やはり心配させてしまったらしい。
「帰ってくるまでに例のアレンデール行きの話、カイに了承もらっといてね!」
「…アレンデール…あー。忘れとった。」
「忘れないでー。じゃあレン送って来るねー。」
アレンデールの鍛冶屋さんにて、私の剣の改変をお願いしたい件についてすっかり忘れていたらしいおーちゃん。
カイに話しておいてと念押して、私はレンと立ち上がる。
「お嬢、お使いも頼まれてくれへん?」
「お使い?」
「王子の城、鷹に覚えさせて来てほしいねん。」
レンは本当に顧客になってしまったのか。
「…みんな勝手だなー。」
不満を吐く私に、カイが鷹を呼ぶ笛を手渡す。
レンも世間知らずなとこあるし。この取引の主導権は私が握るのがベストではないかと思った。
「レンとの売買は私が仲介してもいい?」
「ダメ。」
レンの財布を守ろうと思ったのに、何故かレンに拒まれた。