(二)この世界ごと愛したい



また移動経由をしつつ、無事にカイの酒場に戻ると。


開店準備をしているカイと、椅子に座って机に突っ伏しているおーちゃん。




「お嬢、お疲れさん。」


「ただいま。間に合ってよかったー。」



開店に間に合ったとホッとする私の声を聞いて、おーちゃんがガバッと起き上がる。




「お嬢。」


「うん?」


「…おかえり。」



この可愛い生物はなんだ。




「うちのオウスケ可愛いやろ。」


「ご尤も。」


「せやろせやろ。あ、オウスケにアレンデールの鍛冶屋行くん聞いたで。」


「行って来てもいい?」



カイは容易に頷いてくれるかと思いきや。


そこに返事をしたのはおーちゃん。




「連れてくのはええねんけど、お嬢に提案があんねん。」


「提案?」



おーちゃんから私に???






「…俺の弟子にならへん?」



で、弟子。


つまり、双剣の扱いを教えてくれると捉えていいんでしょうか。




「なる!!!」


「早いわ!まだ説明してへんやろ!!!」


「なるなる!絶対なりたい!!!」


「ぜ、なっ…!」



そんなこと悩むまでもない。


説明なんて別に必要ない。



今以上の力を得られるなら、何でもやる。




「お嬢、オウスケがこんなん言い出すん珍しいんやで。」


「そうなの?」


「オウスケの双剣は世界一。これからのお嬢が心配やから使い方教えよう思ったんやて。」


「せ、世界一の師匠!嬉しい!!」



一度手合わせした際、お互い実力を出し切らなかったものの私の優勢で終わった。


おーちゃんの実力はまだちゃんと測れていない。




「そもそも双剣自体そない普及してへんだけや!」


「世界一は否定はしないんだねー。」


「…否定しようにも、俺も俺以上の使い手見たことないし。」



か、かっこいい…!!!




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