(二)この世界ごと愛したい
春待つ君へ
レンの城へ炎を残して。
おーちゃんが決意を固めた日から、しばらく。
簡単なカイからの依頼をお手伝いしたり、時に既成事実作成のため拠点を行き来したり。そして夜に酒場にいられる時は、酒場でお話を聞かせてもらったりして過ごした。
開戦したハルの戦に気を揉まれながら、中々鍛冶屋に行けない日々に悶々としながら。
どうしても晴れない私の心。
「アレンデールが劣勢!?」
「鬼人がいてそんなことあんのか!?」
「まだ回復しきってねえんじゃねえか!?」
各国の街では、ハルの戦についての話題で持ち切り。そんな流言に眉を顰める私。
心配だけど、静観を貫くと決めている。
私が下手に動いてハルの邪魔をするわけにはいかない。
「…はる。」
…信じてるから。
私のハルは、誰にも負けないことを。誰よりも私が知っている。
そんな中、もう一つの悩みの種が更に頭を抱えさせる。
「ま、まただ…。」
レンの城の炎が消えた気配を察知。
またレンが、私を呼んでいる。
…多いのよ!!!
あれから約三日置きくらいの頻度で消火されてしまう私の炎。
最初は早いなと笑い話にも出来たけど、最早笑えるレベルは通り越してしまった。
勿論地方に行っている時は行けないと、クロに手紙を運んでもらって後日顔を出すんだけど。後日行くと逆にレンがバタバタしていて結局会えなかったりすることもあった。
「…前回あんなに注意したのに。」
高頻度で呼ばれると敵の目を引いてしまうから気を付けて欲しいって。
極力向かうようにするけど無理な時もあるって。
つまり、私はそんなに暇じゃないんだって!!!
何回も伝えたのに!!!