(二)この世界ごと愛したい
今回は一人で丁度近くにいることもあり。
予定が早めに終わったこともあり。
私は渋々レンの城へ足を向けることにした。
城付近の人気も人目もない場所に降り立ち、ズンズンとレンの部屋に向かって進む私。
城門を守備する衛兵も、またかと言わんばかりに苦笑いしながらすんなり中に通してくれるようになってしまった。
「レンっ!」
「あ、リン。お疲れ様。」
バンっと荒々しく部屋のドアを開ける私を気にも止めずに、ケロッとして悪びれる様子もないレン。
「今日の格好も可愛いね。」
「あ、ありが…じゃなくて!多いの!召集が多すぎるの!こないだ言ったばっかじゃん!?」
「うん、ごめん。」
「本当に悪いと思ってる…んっ!?」
ガミガミと怒る私を引き寄せて口付ける。
「…あんまり思ってない。」
「で、でしょうね!?」
唇を離して、すぐに悪いとは思ってないと素直に白状したレン。
悪いと思ってるなら改めてくれるはずだもんね!?
「もう制限設けようか。」
「俺がリンに会いたいと思う気持ちに制限なんかないよ?」
「っだ、だから!そうじゃなくて!」
「怒ってるリンもやっぱり可愛い。」
あー…。
キレていいのか、これ。
「あれ、ここ血が付いてる。」
「返り血です。」
「何かあった?」
「追われてる気配があったので。追手止めずにここに来たらこの城無事じゃ済まないからね。」
「…ごめん。」
「分かってくれた?分かったなら次は本当に本当にちゃんと考えてから呼んでね?」
「…うん。」