(二)この世界ごと愛したい
気合いと根性で、何とか足に力を宿し。
立ち上がった私は一目散に部屋を出ようとドアに手を掛ける。
「心配なのは分かるけど、リンのお兄さんだからきっと無事だよ。元気出してね。」
「っ…。」
どうやらレンはレンなりに、私に気を回してくれていたらしい。
それ程この戦の流言は分布率が高い。
「まさか最近やたら呼ぶのって、私が心配掛けてるせい…?」
「そう言うことにしたら、またすぐに呼んでもいい?」
「…だめ。」
レンは、卑怯だ。
もう怒る気にもならない。寧ろ、ありがとうと感謝を伝えたい気分になった。
「…帰って来た時用の火、置いとくね。」
「俺のお嫁さんはどこまでも可愛くて困るよ。」
いつまでも私をお嫁さんだと言ってくれるレンに、私は笑えてしまう。
「じゃあ、レンも気を付けて行って来てね。」
ニコリと笑みを残して。
私はまた、カイの酒場を目指して城を後にした。