(二)この世界ごと愛したい




「あー疲れたー。」


「お嬢お疲れさん。遅かったやん。」



普段通り酒場のカウンターで、帰った私を労うためにコーヒーを作り始めたカイ。


そんなカイにレンに再招集されたことを説明し、更にこの出先での報告を済ませる私。




「まーた呼び出しか。王子はよっぽどお嬢にお熱やねんな。」


「けどしばらく出掛けるらしいし、また怒って来たから。少しの間は呼び出されない…はず。」


「ん?お嬢服汚れとるけど…血?」


「これもまたまたソルの追手。最近増えて来たのー。戦中なのに人手余ってるのかなー。」



カイが思わず心配そうに怪我がないか聞いてくれて、全くの無傷だと伝えた。


ちなみにおーちゃんは、今は王様からのお仕事を承ってるらしく一人で何泊か外出中。だからアレンデールの鍛冶屋にも私は行けていない。




「そんなソル戦の最新情報。聞きたいか?」


「き、聞きたいっ!」



一枚の紙をヒラヒラさせるカイに食い付く。




「どーぞ。」



そう言って差し出してくれたその紙には。


『アレンデール軍、ソルの包囲網を突破。ソル北部の城を落城し開進。次いで忍軍の残党兵と衝突。』



その情報を読み、私は地図に目を向ける。


ハルがわざわざ城を落とした。その城を一時的に拠点にして更なる進軍に備えようと考えているのか。




「……。」


「…お嬢顔怖いで。」


「カイ、このお城の周りに何かあるの?」


「んー?何かって…あー、けどこの辺確かかなり霧が濃いで有名やな。もしかして鬼人誘い込まれたんちゃう?」



…否めない。


ハルって馬鹿だから!!!




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