(二)この世界ごと愛したい
「良い加減、待ちくたびれた。」
そう言って立ち上がったシオン。
それを警戒して、今まで大人しくしていたおーちゃんが立ち上がる。
「…へえ。」
「何やねん。」
そんなおーちゃんを見て、驚いてもいないような顔で驚いたっぽい声だけ発したシオン。
「戦場にも立たない木偶が、ここで抜くわけ。」
「…相変わらず腹立つ奴やな。別にお前が大人しくしとったら抜かへんけど。」
「…何かした?」
「一体何の話や。」
言葉足らずなシオンだが。
これをたぶん読み取ってしまえたカイとトキが思わず苦笑いを浮かべる。
「彼女に。」
「…はあ!?」
ここで遅れて意図を理解したおーちゃんが、素っ頓狂な声を出す。
「俺が!?」
「……。」
「お、お前はアホか!?」
「…何した。」
「何もしてへんわ!!!」
シオンがどうしても殺気立つもので。
上の階で穏やかに眠る私が、必然的にその殺気を感知してしまう。
寝惚け眼で目を開けた私にワカさんが気付く。そして私は下での殺気がシオンだと気付くが、寝起きで面倒極まりないので起き上がりたくないと瞬時に思った。