(二)この世界ごと愛したい
あーやめてくれ。そんな目で見ないでくれ。
思えばここにはトキもいる。この二人が揃うと本当に目の保養だ。
「さて、オウスケ落ち着け。お嬢もしんどいならまだ上で寝ててええよ。店開ける時また起こすわ。」
「ちょっと待って。店ってまさか、リンで客引きしてるの?」
トキの勘違いなのに、カイが変に慌てた様子を見せるので兄弟の機嫌がまた悪くなる。
さっきから常に誰かの機嫌が悪い。
「何それ。リン置いたらボロ儲け確定じゃん。狡い。俺もその商売やりたい。」
「トキやっぱ彼女連れて帰る。」
なんて滅茶苦茶な兄弟だ。
「お店には私が出たいって頼んでるの。カイは悪くないよー。」
「お嬢ナイスフォローや。」
「それに基本おーちゃんがベッタリだからお客さん私に近付かないよー。」
「おっと、そんな暴露したらオウスケがピンチや。」
シオンがまた更に機嫌悪そうにおーちゃんを睨む。
けど、おーちゃんは意外にもケロッとしていて。シオンを相手にもしていない。
「そんな殺気向けたって、どうせ斬られへんねやろ。」
「同意の上なら良いんじゃない。」
「俺に同意してほしいん?」
「…さっさとしろ。」
もうめんどくさいなー。
いつも余裕綽々なシオンが、僅かに警戒しているようにも見える。おーちゃんって結構凄い人だ。
「シオン、そろそろ帰るよー。」
「先に帰ってろ。」
「我が儘言わないでよ。早くエゼルタ戻らないとまた面倒になるよ。」
「俺今日泊まる。」
聞き分けのないお兄さんだ。
帰らずここに泊まると駄々を捏ねるシオンに、弟であるはずのトキが呆れて溜め息を吐く。
…心中お察しします。